2015.12.17

JA長野県…「長野県のおいしい食べ方」佐久鯉と佐久ホテル


■JA「長野県のおいしい食べ方」 佐久鯉


・現在長野県で「地域団体商標」として登録されている名称のうち食べ物は三つあり、その一つが「佐久鯉」です。さてさてこの佐久鯉はいつから世に知られるようになったのか、
それにどこにでもある鯉と何が違うのか・・と、世に聞こえる佐久鯉ブランドのおいしさを確かめに佐久市を訪れました。
・お殿様も食べていた佐久鯉の魅力:先ず訪れたのは、佐久市岩村田にある佐久ホテルで、創業約600年前という気の遠くなるような歴史の宿です。ここ岩村田は中山道六十九次の22番目の宿場として栄え、街道に
面した佐久ホテルは当時「郷宿」と呼ばれていました。
お話を伺ったのは当宿19代目!の篠澤(ささざわ)明剛社長です。「このホテルには創業以来各時代の古文書が残されていて、宿の歴史はかなり詳しくわかっています。
その中には鯉料理の記述も含まれていますよ」とのこと。その量は半端ではなく、一抱えもある箱に古文書がぎっしりと入れられ、その箱がなんと30箱!
室町幕府の将軍からの感謝状だとか、武田信玄を接待した記録だとか、江戸幕府の歴代将軍からの感謝状だとか、明治維新の中心的政治家や近代の文豪たちの記録等々、積み重ねられた歴史の重みにめまいがしてきます。
古文書には鯉料理の記載もあり今のところ確認されている一番古い佐久鯉料理の記録は江戸時代初期(1648年)に小諸城主にお出しした献立表です。佐久鯉ブランドは
昨日今日できたものではないんですね。
それではいよいよ絶品の佐久鯉料理に対面しようと、副料理長の常田さんに鯉のあらいとお刺身を目の前で作ってもらいました。常田さんは鯉を扱って12年というキャリア。
ホテル管内の池で泳いでいた鯉を網ですくうところから始め、1匹をさばききり、
あらいにして盛りつけるまであっという間の手際よさ。海の魚と違って鯉は生きているところからさばいてこそおいしい魚なのです。
作りたての鯉料理を早速味見させていただくことになりました。
「鯉こく」・・これは定番料理。アツアツの鯉こくは最高です。「旨煮」・・篠澤社長が一番好きという料理。このトロつとしたコクのあるたれは、何と260年間
にわたって継ぎ足されてきた秘伝のもので、この宿でしか味わえません。
「鯉の南蛮漬け」・・さっぱりしていて食べやすく、おつまみにも最高です。
「あらい」・・あれっ、臭みがない!鯉のあらいはどうしても臭みが残るので酢味噌で食べるのが一般的ですが、佐久鯉はワサビ醤油がとても合うのです。
「刺身」・・なかなかお目にかかれません。素材の素晴らしさが最高に生きています。
「うろこせんべい」・・カリカリっとしてこおばしい不思議な触感です。これは鯉の皮をそぎ、から揚げにしたもの。「鯉は捨てるところがないんです」と
若女将の真理子さん・・なるほど。さっぱりとおいしい「佐久鯉」は生産者の努力で生まれました。
次にお伺いしたのは佐久養魚場協同組合で、10万匹以上の鯉が泳ぐ広大な流水池では1年で一番忙しい出荷のピークを迎えようとしていました。
「すぐそこを流れている千曲川の水を引いて、毎秒3トンの流水で育ててます」と説明してくれたのはここの飯田好輝組合長です。鯉の味に泥臭さが混じるのは、
飼育中の餌や糞が植物性プランクトンを大量に発生させ、それによって作り出されたカビが原因なのだそうです。ため池はもちろん、湧水程度の流水ではこれを消し去ることが
できません。佐久鯉が最高品質のブランドとして愛されるのはちゃんとした裏付けがあったんですね。佐久鯉はしっかり佐久地域に根差した「文化」でもありました
一概に「食文化」といっても様々な捉え方がありますが、生産と食の結び付き方から見ても、歴史的に見ても、さらに生活への浸透度から見ても佐久鯉ほど地域に根差した
文化はなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。ここ佐久平において、鯉は単なる食材の一つではありません。佐久鯉は、この地方の冠婚葬祭には必ず出される定番料理ですし、もうすぐ訪れる「お歳取り」の料理としてもどの
家でも欠かせません。鯉の生産者や鯉料理を出す飲食店の数も他地域に比べ格段に多いだけではなく、食用鯉を個人宅で飼うケースも(近年減少してきたとはいえ)まだまだ散見します。以前、「鯉をさばけなければ佐久ではお嫁に行けなかった」のは実際の話でした。
佐久鯉のおいしさは当地で文化を感じながら食べてこそより引き立ちます。日本中の皆さんに、一度はここ佐久を訪れていただき、この地で佐久鯉を味わっていただきたいなと心から
思いました。27/12/16号


 



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 271217
 
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